2013年2月16日土曜日

いざ、ラリーアメリカヘ。


全米ラリー選手権(Rally America)のラウンド2がいよいよ来週から開幕。

アールエスタケダラリーチームジャパンあらため「RS.TAKEDA Rally Team USA」の村瀬太のアメリカでのラリー参戦の始まりである。

100 Acre Wood Rally

ほとんどのフリータイムをマシンの準備に費やしてきた村瀬だが、なかなか準備は思うように進まない。言葉の壁も含め、異国で活動することは部品をひとつ頼むにしても容易ではない現実がそこにある。シェイクダウンにまでこぎつけるのがとにかくたいへん。

しかし幸いなことに、挑戦するのはラリー。

実際にレギュレーションを読み込んでみるとヨーロッパのラリー=我々が日本で参戦したラリージャパンとかアジパシとかとは微妙に異なる内容に気付く。それでもやっていることはSSラリーなのでなんとかなるはずだ。

いや何とかなる。


■RALLY AMERICA 100Acre Wood Rallyとは

アメリカのほぼ中央にある州、ミズーリ州で開催されるラリーが「100Acre Wood Rally」。これは日本語では「100エーカーの森ラリー」みたいな意味。100エーカーの森という表記は世界各地にあって、熊のプーさんが住んでいる森も100エーカーの森。大きさとしては東京ドーム9個分くらいの広大なフィールドがラリーの舞台となる。



実際にステージは広範囲の森のあちこちに用意されている。ステージの路面は火成岩の硬い地層に覆われており、フラットで掘れにくい。森の中はなだらかなアンジュレーションが多く、平坦な路面が少ないため3次元的な走りが要求されるだろう。

Stage Map/All SS

お客様用ステージマップ

今回村瀬はアメリカ人のキーラン・ライト氏にコ・ドライバーを依頼した。なにしろ完全なアウェイな中での初参戦である、アメリカ人クルーの参加は心強いものがある。とはいえ、日本での参戦とは体制が異なるため磐石の態勢にまでたどり着くのには時間が必要。

今回の参戦の目的はまず勉強。

コースを走ることには大きな問題は無い。問題なのは走る前と、走ったあとのこと。それでもやれば何とかなるというのはアールエスタケダラリーチームの伝統であり、先輩がたから教えていただいスピリッツでもある。

何度も言うが、挑戦するのはラリーである。
たぶん何とかなる。



■いざラリーアメリカへ

村瀬の住むインディアナポリスのグリーンズバーグからラリーHQ(ヘッドクォーター)のある町「セーレム」まではおよそ7時間。コ・ドライバーのキーランの自宅からは倍の14時間もかかる。我が国で言えば愛知県で開催される新城ラリーに仙台と宮崎から向かうような感じ。

すべてクルマで自走するのだから、この時点でお疲れ様である。おまけにアメリカはスピードの取締りが厳しい。半端ないくらい厳しい。だから安全運転で居眠り注意だ。

私は、ステージのあるミズーリ州デント郡の北東160キロにある町「セントルイス」からミズーリ入り。飛行機に乗っても13時間くらいかかるが、全日本ラリーのように13時間運転するわけではないのでずいぶん楽。そこからクルマでセーレムまで2時間。今回は私が一番楽チンなのだ。

日本のラリーの日程と異なるのは水曜に参加確認があり、木曜に車検とレッキ、ラリーは金曜~土曜日にかけて開催されるというところ。国土が広いため、日曜日は移動日として配慮されているのだろう。

木曜の車検はデント州の消防署をお借りして行われる。

今回は、日本ではなじみのないラリーアメリカの現状を視察に行く予定であったが、サービスクルーが不足しているので私は車検の担当になった。さらに村瀬が日頃使い慣れているマッドフラップの予備を日本から持っていくというエクストリームな役目も与えられた。

問題はあんな大きなフラップ材をどうやってかばんに入れるかだ。

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サービスパークは2ヶ所あり、日ごとに移動を強いられる。なんか北のほうでやっているラリーに似てなくもない。

ラリーに詳しい人は「アイテナリー」というラリーのスケジュールシートをぜひ見て欲しい。走る距離は日本のラリーとあまり変わらないが、コースが違う。硬くフラットで3D。アールエスタケダの中村英一選手が大好きな路面だ。

アイテナリー

車両を保管する駐車場を「パルクフェルメ」というが、ラリーアメリカでは「パルクエクスポーズ」parc Exposeと呼んでいる。EXPOの名前からして、車両保管ではなく「車両展示」という風である。お客様にラリーカーをお披露目して、選手がサインしたりファン感謝イベントなんかもあるらしい。



特にラリーアメリカで有名なのは「ケンブロック」選手だろう。アメリカ人が大好きなど派手なパフォーマンスでPVを作成してYouTubeなんかでも膨大な閲覧数を記録している。彼は、この100Acre Wood Rallyで6連覇という偉業を達成している。敵にとって不足はない。




しかし今回の我々の目標は打倒ケンブロックではなく無事完走すること。今回に限り、挑戦状代わりにケンブロックにはサインをもらいに行くことにする。

日本人にはなじみのない「アメリカのラリー」その雰囲気だけでも現地からお伝えできればと、i-Pad一枚だけ持って、ミズーリへ行ってまいります。

お楽しみに!




2012 100 Acre Wood Rally Recap from Kristofer Yahner on Vimeo.














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