モータースポーツはヨーロッパにその起源を持ち、世界中に広まっていった。剣道や柔道が日本を起点として世界に広がったようにいまやヨーロッパのみならず、モータースポーツも多くの国でそれぞれの環境にあった成長を遂げている。
「日本のモータースポーツはガラパゴス化している」という意見もあるが、一概にそうとも言えない。我々が長年取り組んできた「ジムカーナ」競技のトップ選手の技術は世界のトップレベルの選手に対してもそん色ないどころか十分に競い合えるレベルにある。アジアパシフィック選手権の年間チャンピオンを獲得した篠塚選手や新井選手はまがうことなき日本人ドライバーだし、奴田原選手はモンテカルロラリーでの優勝経験もある。環境と状況さえ許せば世界を舞台に戦うことができる選手はこれからも多く出てくるだろう。
今回はフィンランドからEU圏に入り、ポーランド、ラトビアと渡り歩いて現地のモータースポーツについて学んできたのでそのレポートをお届けしたい。
■ポーランドのモータースポーツ
ヘルシンキからシェンゲンエリア(EU圏)に入ったあとすぐに飛行機でポーランドに飛んだ。ラリーポーランドは1921年に初めて大会として開催され、ラリーモンテカルロに次ぐ長い歴史を持っている。ワルシャワの北方の湖水地方にあるミコワイキを中心として広大なエリアにステージが設定される。
製作中のヤリス「ルック」なラリーカー |
見た目はR5仕様なので「R5 LOOK」と呼ぶが、マーチのボディでもヤリス(ヴィッツ)のボディでもすべてにランエボのエンジンが積んであるのには驚き。フロアやフレームもランサーのものを移植して製作されている。
ポーランドではマーチの車検証のまま、排気量が変わっても見た目が変わっても登録が可能!なので、いったん登録されてしまえば公道を走ることもラリーに出ることも可能だ。さらに特筆すべきことはポーランド国内選手権だけではなく、隣国のドイツやチェコ、さらに遠く離れたスペインやバルト三国の国内選手権にも参戦が可能なところ。
WRCとかERCとかのトップカテゴリーには参戦できないが、日本で言う全日本選手権(各国の)には参加できる。抵コストでパワフルなマシンをドライブできるのは魅力だし、正規のエントリーができるのでシリーズチャンピオンを狙うこともできる。
一般人による欧州ラリー参戦のスタイルとして一考の余地はあるだろう。
日本人の我々が全く知らないモータースポーツマシンのありかたがポーランドにはある。日本の法律がこのような車両に門戸を開くかといえば、現時点ではNOだろう。しかしヨーロッパで多くの選手にリーズナブルに参戦チャンスを与えるマシンを意欲的に製作し続ける「PROTO CARS」はイカシタ会社だ。今回すべてを徹底的に説明してくれたPAWEL DYTKOと彼の弟のPETER DYTKOにこの場を借りて御礼申し上げます。ありがとう!
■Mスポーツ ポーランドを訪問
「ノンFIA」のマシンを製作するファクトリーから東へ220キロ。ポーランドモータースポーツ界の雄である「M-SPORTS POLSKA」を訪れた。最近できたばかりのファクトリーは広く、ショールームやマシンを制作する工房もピカピカ。ここでの目的はカスタマー向けにM-SPORTSが提供するフォードフィエスタR5に試乗することだ。
マルコムウィルソン率いるM-SPORTSは英国フォードからワークス活動の委託を受け活動しているが、彼の会社の基盤を支えるのは一般の顧客に対するラリーカーの製作と販売である。メインファクトリーの写真掲載は遠慮してほしいとの指示でここには載せられないが、唯一世界選手権を戦えるトップマシンを「買うことが可能」であるということは理解できた。
もちろんこのマシンを日本で走らせるためには数多くのスペアパーツやメンテナンス知識を持ったスタッフが必要。スタッフに日本のラリーのクラス分けなどについて説明したところ「日本ではなくヨーロッパ選手権に参加するといい、こちらならあなた方のサポートも容易にできる」というありがたいお話。
多くを学び貴重な体験をさせていただきました。
■バルトの真珠”ラトビア”でモータースポーツに参加
日本では「バルト三国」として有名なバルト海に面した国のひとつがラトビアだ。美女が多く、冬でもバルト海に流れ込む暖流の影響で気温があまり下がらず過ごしやすい。
アールエスタケダはこのラトビアを起点としてヨーロッパのモータースポーツにレンタルラリーカーを投入し、多くの日本人ドライバーに本場のラリーを「格安に」体験してもらおうと計画している。現地でいくつかのラリープロモーターと交流し、多くの情報を入手した。今回のプランを利用すればラトビア国内だけでなくリトアニアやポーランド、ドイツのラリーに参戦することも夢ではない。
FINAIR Allright Reserved |
今回私がたどったフィンランド、ヘルシンキヴァンター国際空港からヨーロッパ入りすれば日本からはわずか9時間少々のフライトで北欧入り、そこから空路1時間でラトビアに到達するので早くて楽。ヨーロッパはラリーの本場であり、あらゆるサポート体制が完全に整っている。海外で心配な様々なトラブル、マシンクラッシュに関しても費用面で心配する必要はない。
日本には「競技特約」なるものがあり、東京海上日動の代理店である弊社でも競技参戦時の車両事故や対物、対人を補償する保険を扱っているがヨーロッパの保険は一味違う。英国に本拠地を置くAPEX社が担保するのはその名も「Rally Cover」というラリーに特化した保険だ。日本のラリー保険や競技保険などは全日本選手権であろうが初心者向けの入門ラリーであろうが保険料は同じ。それは、速度も距離も段違いのイベントであってもそれを細分化する仕組みと「知識」を日本の保険会社が持っていないからだ。
ラリーカバーは選手のレベルやラリーで走る距離、マシンのサイズなど細やかな設定があり、ステージ中でのクラッシュに関してそのすべてをカバーする。つまり参加者は万一のクラッシュの際にもレンタル費用以外を追加で支払う必要はない。これは弊社のRCRP(ラリーカーレンタルプラン)でも同じで、明朗な費用で安心してモータースポーツに取り組むことができる。
乗員の怪我やコドライバーの怪我に対しても補償されており、現地の病院で治療を受けるような事態になっても対応してくれる。さらにアールエスタケダが提供するヨーロピアンラリーカーレンタルプランには「海外旅行総合保険」(一般の海外旅行傷害保険とは異なる)を追加付帯しラリー競技中の事故に対してもダブルで十分な補償を提供。まるで日本国内で参加しているかのようなバックアップ体制が強みだ。
用意されるラリーカーはフォードフィェスタのR2またはR3仕様の本格的なラリーカーであり、即参戦可能なラリー装備と入念なメンテナンスが行われている。
現地では様々なサービスを総合してラリーカーをレンタルしており、車両レンタル費用、保険料、サービス費用、ラリー後のメンテナンス費用などそれぞれラリーの形態や距離によって微妙に異なっているが、アールエスタケダのプランは参加したいラリーを選ぶことで渡航費や滞在費も含む総額でのプログラム参加費が明確に分かる仕組み。現地では単なる滞在だけでなくラリー終了後に現地の観光も満喫できるようラトビアのJTBとタイアップし、楽しい旅の思い出を提供する。
アールエスタケダのERCRP(ヨーロピアンラリーカーレンタルプラン)では最初はラトビアあるいはエストニア、ポーランドまでに限定し、いくつかの対応可能なラリーへの参戦をお客様に提案する。来シーズンからヨーロッパでのラリー参戦がもっと身近なものとなってみなさんの前にやってきます。お楽しみに!
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