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「誰が僕の書いた文章を読んでくれるのか?」いろいろなメディアを通して物書きをしていれば、こんなことを考える日もある。
その時々に自分の好きなことを好きなように書いている僕は、自分のブログの読者履歴を保存していない。しかし年末にプロバイダから送られてくる年間アクセスレポートはとても楽しみにしている。
今年のレポートでは2年前に私が書いた「ここ数年のうちで即座に思いつく10名のドライバー」という記事にもっともアクセスが多かった。そんなに考えて書いた記事ではなかったのに、なぜそんなにアクセスが多かったのだろうか。
クルマ好きの誰かがリンクを張ってくれたのか?
私の書いた記事に注目してくれた誰かが、この記事を勧めてくれたのか?
その正体は、日本のブログからリンクされた多くのアクセスであった。私は過去に多くの日本の写真をアップして記事にしている。それなら日本からのアクセスが多いのも納得がいく。
私のブログと日本のブログがリンクした話は2009年にさかのぼる。
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当時、私はスコットランドで「205エコッセチャレンジ」というワンメイクラリーのメディア担当をしていた。これまで使用していたプジョー205がすでに15年前に生産を終えていていることに加えてラリー中のトラブルで数を減らしていることに頭を悩ませていた。
ラリーのスタッフで話し合った結果、後継車種としてホンダ・シビックを使用する案が浮かんだ。しかし、そのころのスコットランドのラリーでシビックを走らせている選手は少なく、エントラントに対してこれからシビックでラリーに参戦しようと思わせるだけのアピールが不足していた。
シビックに関する情報を集めるために私たちは役割分担を行い行動を開始した。技術面を担当するスタッフはセッティングやパーツに関しての情報収集を行う。私は、日本語の辞書を片手にYouTubeでシビックのラリーカーの動画を探していた。
ほどなく一つの興味深い動画が目に留まった。それは日本のラリークルーがEKシビックで京都のラリーステージを走る動画。彼らはとんでもないスピードでコーナーに飛び込んで行き、VTECエンジンの能力を100パーセント引き出した走りを見せていた。
この動画は私たちのスタッフの間でも感嘆の声をもって迎えられた。さらに情報を得るために、私はこの動画の投稿者にメールを送ることにした。投稿者は"rstakeda"という不思議な名前だった。
二週間ほどして、私の元に日本の名古屋の消印が押された郵便物が届いた。中には3枚のDVDビデオが入っていて、シビックタイプRで村瀬太選手が全日本ラリー選手権を走る姿が収録されていた。彼は2008年シリーズから新型シビックにスイッチ。さらにパワフルな走りを見せ、翌年には全日本チャンピオンにまで駆け上がる。
しかし、そのあとすぐに彼の名前はラリー界から忽然と消えた。
2010年に私は10分で思い出せる10人のドライバーをリストアップして自らのブログに掲載した。そこには村瀬の名前もあった、なぜなら歴代のトップドライバーたちと同じくらい私の心に残る選手だったからだ。しかし彼の名前がその後の全日本ラリーのエントラントリストに現れることはなかった。
まるで彼はスコットランドの若いドライバーたちにその走りを見せるためにホンダが遣わし、役割を終えたあとで天に消えて行ったかのようにいなくなってしまったのだ。
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時はたち2012年の暮れに私は、いつものように自らのブログへの訪問者の履歴を眺めていた。もともと気の小さい私はどんな人がブログを見ていて、もしかすると誰かに悪口を言われているのではないかといつもハラハラしている。
最初に見つかった日本語のブログの管理者は、私のブログをよく見てくれていた。多くの食べ物の写真に彩られたページには定期的な書き込みがあり、文章の中には日本独特の個性的な顔文字が使用され、アジア的なスマイルが溢れている。(^∇^)
タイトルを見て私はどきりとした。
「NO RALLY,NO LIFE,」
白文字で大きく書かれたタイトルの背景には、アールエスタケダの銀色のラリーカー、シビックタイプR の姿があった。これは村瀬のブログに間違いない。
履歴では2012年11月16日の記事で私のブログにリンクした記事がある。そこで彼は、なぜ自分がミハエル・シューマッハやセバスチャン・ローブと並んで10人のドライバーにリストアップされているのか不思議に感じているようだった。やはり関係者の誰かがこの記事を読んだことは間違いない。
私は、なぜ村瀬のことを知ったのか、そしてこれまでのお礼も含めて経緯を伝えるために彼のブログにコメントを残すことにした。
続く・・・・
Leslie Mabon: Words on Wheels
References cited:Amazing how words travel....
Translator ; Dr.Norio Furuhashi
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