2007年2月13日火曜日


9月にラリージャパンに参戦し、のこり3ステージ余りで無念にも川に転落したランサーエボ9が修理を終えて戻ってきた。エンジン/ミッションなどには問題はなく、主に外板の修理での入院。ロールケージもリニューアルしてよい感じである。FIAの厳格な規定にしたがって製作されたキャロッセ製のロールケージはきわめて頑強。加えて、ボディワークを担当したアクセルの鷹田社長の完璧な溶接技術がこの高い剛性を支えている。

ラリーには危険が伴う。特にトップカテゴリーである世界ラリー選手権においては最高速度が時速200㎞を超えることも珍しくなく、高速域でのクラッシュはクルーの生命を脅かす可能性を充分にはらんでいる。そのためロールケージはもっとも安全を優先して製作、装備されるべき安全装備であることは当然だ。このブログをお読みいただいているお客様にはご理解いただけると思うが、「頑丈=重量の増加」という面をもつことは否めない。自動車雑誌各誌においては「軽量化」で記事が書けるほど、車の性能を向上するのに軽量化ほど手っ取り早い方法がないのも事実である。

ラリーカーに装備されているFIA公認ロールケージのすべてが完全に「安全」かといえば言葉に窮する部分がある。我々がキャロッセより供給を受け、装備しているロールケージが高い安全性を確保しているのは信頼に固く、皮肉にも自らのマシンでその安全性を実験するような過程を経てその信頼は確信に変わった。

クルーの安全は最優先事項であるのだが、チームにとっては勝利へのプライオリティがそのことを凌駕する瞬間がある。この世界の詳しい話や細かいことはここには書けないが、軽い車ほど早く走ることができ、ラリー中のマシンへの負担も少なくなる。すなわち勝利へより近づくわけである。

2007年アールエスタケダのモータースポーツ活動はまもなくシーズンイン。前述したようなワークスチームの葛藤を我々が知るすべもないが、アールエスタケダにおいては安全はすべてに優先する。一般整備に始まり、競技車の製作からタイヤ一本の取り付けに至るまで自動車が楽しい乗り物であることを確立するためには安全への優先意識が必須である。

もちろんこのことは私たちの業界に限ったことではなく、食品や建造物にいたるまで人がかかわるすべてにおいて必要なことであると思うのだが。

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