2007年9月6日木曜日

冷やすのはマシンだけではない。



COOL VEST(クールベスト)

暑い暑い夏が終わり、いつのまにか9月になった。季節的には「秋」を迎えるわけだが相変わらず名古屋は暑い。夜も蒸し暑くなかなか長袖パジャマの出番が来ない。それでも不思議なもので夜になると秋の虫の声が我が家の裏庭から聞こえてくる。

いまだ記憶に新しい真夏の8月に開催された、国内で最も暑いラリー「FMSCマウンテンラリー」にはアールエスタケダのクルーに対して新兵器が投入された。

高回転を維持して走るラリーカーにとって水温上昇は多くのリスクを生むため、様々なクーリングテクニックがマシンに投入されている。もちろんラジエターを大型の物に交換すれば冷却の問題は多くの場合解決されるのだが、全日本ラリーの現行の規定では純正以外のラジエターの装着は禁止されているため、そうも行かない。マシンの温度上昇に対する対策も重要ではあるが、マシンをドライブするのは人間であるがゆえ人間の冷却対策も重要だ。実は酷暑の季節に開催されるラリーでは我々のマシンは、車載のヒーターを全開にして走行している。「えっ!なぜにヒーターを全開にしてアタックを?」と驚かれるのも当然だが、これには理由がある。


ヒーターコアは車内にあり、熱せられた冷却水を循環させて車内を暖めている。その原理はラジエターと同じであり熱交換を行い車内に熱を放出する。そのためハードな走行を行う際にはこのヒーターを動作させることにより冷却水温を下げることが可能なのだ。ステージをアタックする際にはアールエスタケダのマシンはヒーターを全開にして走行する。「暑くないですか・・」 もちろん暑い。走行中は窓も締め切って走行するため車内は尋常ではない温度域に達し、クルーは過酷な職場環境での業務を余儀なくされている。そこで今回投入した新兵器「クールベスト」の登場となる。

「クールベスト」は特殊な吸熱剤を内包したベストであり、溶鉱炉内での作業や常時高温となる特殊な作業環境のもとで使用されるプロスペックのクーリングベストである。この製品のポイントは内包されているパックがジュースを冷やしたりする保冷剤ではなく「PCMパック」と呼ばれる特殊な熱吸収素材であることにある。この素材は硬化した状態から28度で溶解を始め熱を吸収、体温を一定に保つ働きをしている。SS(スペシャルステージ)のアタック時には50度~60度までにも達する車内でクルーの体温上昇を防ぎ、ラリードライブに適した環境を維持する優れもの。

アールエスタケダラリーチームジャパンではこの製品に着目し、今回のラリーへ実戦投入を行った。その結果、今までに無い快適性が維持され繊細なドライビングと正確なペースノートリーディングに大きく寄与してくれたのだ。

エアコンが装着されていないラリーカーのドライビングにとって、今後「クールベスト」は夏季のモータースポーツに必要不可欠なアイテムとなっていくだろう。


クールベスト紹介動画(wmv)

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