林道コースを走りこむというめったにできない体験。群馬サイクルスポーツセンターは自転車レースからモータースポーツまで様々なカテゴリーで楽しむことができる。全長6キロにも及ぶ林間コースを有するのは日本ではここだけだ。
今回はこのコースのほぼ半分2.7キロ。テクニカルセクションの多いAコースを占有してイベントを開催した。群馬サイクルスポーツセンターの林間コースは国内でも屈指の個性的なコースであり、多くの初体験の参加者はこのコースを「怖い」という。それはいつも走っているサーキットと見える景色が違うからだろう。そしてこの「怖い」という気持ちがドライビングテクニックの向上に欠かせない要素であることに多くの人が気づいていない。
サーキットは「怖くない」林間コースは「怖い」?
その違いはどこにあるのだろうか。参加者に話を聞いてみると「林間コースにはエスケープゾーンがないから」というのが「怖い」理由だという。すなわち逆説的にサーキットは「エスケープゾーンがあるから怖くない」となるわけだが、実際にはサーキットでガードレールに激突することもあれば、タイヤバリアを乗り越えて横転する車も見てきた。
それゆえ私の私見では、サーキット走行も十分に「怖い」。
これまで私の場合「怖い」と思えば思うほど速く走ることができた。大昔に林道でがけから滑落し数十メートルを転げ落ちた時も、立木の中に高速で突入し奇跡的に木々の間を抜けて無傷で停車できた時も別に「怖い」とは思わなかった。なぜ落ちるのか、なぜ森に突っ込んでいくのかといえばそれは「怖い」と思っていなかったからだ。
ある時期を境に「怖い」と感じるようになり、やがてこのコースのこの部分は「危ないな」と感じるようになった。山道を走っていても、ここはこの速度で入ると「危ない」と考えるようになり、そこから走り方が変わったような気がする。
もちろん怖がってばかりいたら速く走ることはできない。すなわち、あなたにとって何が「怖い」のかが重要であり、そこに向き合ってこそ初めて選手として先に進める。モータースポーツはスポーツであるがゆえに「慣れ」と「反復」が練習の基本である。道具を使って戦う競技であるので、その道具になれるために繰り返し乗って可能な限り長い距離を走らなくてはならない。
練習でぶつかりクルマを壊すと、この反復練習ができなくなる。経済的な損失も大きくなり競技者として活動を継続できなくなるかもしれない。そのことも「怖い」理由の一つだろう。慣れていないのに速く走ろうとするから車を壊す。そして、車を壊すことで慣れへの道を閉ざしてしまう。
「慣れること」がすなわち「練習」
今回の群馬サイクルスポーツセンターでの走行は練習会、講習会として開催された。競技会ではないから表記のとおり「慣れること」が最大の目的だ。競技人として競技会に参加を続ける皆さんは練習とは「慣れること」が最大の目的であると理解し、マシンへの習熟が安全な走行につながることを知ってほしい。
「怖い」気持ちを持つことはとても大切なこと。そして自分の中にある「怖い」が何に向かっているのかを見つけて、その先にある高みへ登っていこうではないか。
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